「あら、 まあまあ!いつもお元気で・・・」
閉店直前の午後6時少し前。私がこの店に足を踏み入れる時間です。いつものように絣の着物と屋号入りの前掛けをキリッと締めたおばあちゃん。色白で身だしなみの薄化粧は日常。
カワイイ「おちょぼ口」で迎えの第一声。ーーーそれを聞きたさ、見たさで私はスポーツジム、散歩の帰りにはここへ寄ります。
80?歳(ふっふっふ・・・と彼女は年をぼかす)のおばあちゃんとの語らいがその日のカタルシスになる事もたびたび。
「さあ、海藻類を一杯摂るのよ。そうスベスベした肌、血液サラサラはこれに始まりよ」と泳いで胃袋がからからの私にさっと出す。もずく入りワカメのサラダを店用の小皿に大盛りで〜〜
「健康の秘密?こうして小さくても自分の店に出てお客さんと接する。算盤をやめて今じゃ電卓よ」とホッホッホ。これが又えもいえぬ慎み深いチャーミングとくる!
若いとき交通事故で夫を失いつつも時代を生き、息子夫婦とつましく今日まで・・・大仰に声高に世情を憂うことなくハナミズキの並木際に在るたった一軒の「おばあちゃんの昆布屋さん」
耳をふさぎ、目を閉じ続けたいような現代(いま)。新緑の木陰で生活をする”市井の幸せ”を誰が奪う事が出来ますか!